暮らすように旅をする

沖縄に移住した私が感じたことや体験したことを気まぐれに綴ってゆきます。

パリとスイーツ その2

 

こんばんは。SAKIです。

今日はパリとスイーツ その2をお届けします。

 

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父が亡くなってからの私は目の前の現実を受け入れたくなくて、自分から湧き上がる寂しさや悲しみに向き合えずにいた。

何かに取り憑かれたように、なぜかサウンドオブミュージックと千と千尋の神隠しをDVDが擦り切れてしまうんじゃないかってくらい、繰り返し何度も何度も観ていた。心の穴がポッカリと空いてしまったようで、何も感じることができなかった。

 

しばらくその状態が続き、身近な人の死に向き合う私。

人はいつまでも生きているわけじゃない。誰もが死を経験するんだ。父がこんなにあっけなく亡くなるのなら、自分がいつ死ぬかもわからないし、いつまで生きるかもわからない。

 

…だったら、好きなことをしなきゃ!自分の夢はなんだろう…??

ようやく、自分の人生に自分自身で向き合えたような気がした。

 

自分のワクワクすること、好きなことを探した。

 

 

 

 

 

 

 

 

私はスイーツが好き。ずっと憧れていたパリに住みたい!

 

 

 

 

 

ようやく向き合えた夢を叶えるために、勤めていた百貨店に退職届を提出した。

それからの私は、兄のパソコンを借りてパリに住むためにはどうしたらいいのかをひたすら調べた。

当時、姉がロンドンにワーキングホリデーで住んでいたので私も半分はロンドンに住もうと決めていた。

 

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ロンドンのヒースロー空港に降り立つと姉が迎えに来てくれていて、力いっぱい抱きしめてくれた。

初めての海外に私は緊張気味だったから、姉がいてくれて心強かった。

ロンドンのことはまた後日書くとして。

 

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パリに向かう当日は姉が見送りに来てくれた。お互い手を大きく振り合い、私は1人ユーロスターに乗った。

ここからが本当の意味での始まり。

不安と興奮と緊張と色んな感情が混ざり合いながら、ロンドンからパリへ向かった。

 

 

 

私が住んでいたアパートは、パリの5区にあるムフタール近く。ムフタール通りは石畳の道がとってもステキで私は大好き。観光客も地元の人もいて、治安が良い感じ。

ムフタール通りは、食べ物屋さんがいっぱい。八百屋さん、スーパー、ワイン屋さん、日用雑貨屋さん、チキンがぐるぐる回ってポテトも売ってるお店(名前わからないけど、よく街中で見かける。笑)、チーズ屋さん、ジェラート屋さん、ビストロ、ショコラトリー、近くにパティスリーやお花屋さんも。

食いしん坊な私には、目がハートになるくらいときめき、天国のようだった。初めて見る光景はとても新鮮に目に映り、ムフタール通りは幸せを感じられる本当に大好きな場所になった。

 

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今の私だったら、フランス語が話せなくてもオンラインで調べてすぐに好きな場所へ向かうと思うけど、当時の私はまだまだひとつひとつがドキドキ。

 

 

勇気を出して、ようやくムフタール通り近くにあるパティスリー、カール・マルレッティへ。

店員さんにBonjour と挨拶をして、カーブのあるガラスのショーケースを覗くと中には煌びやかでどこかクールでキラキラしたたくさんのケーキが並べられていた。幸せな焼き菓子の香りを感じながら、美しいケーキを眺められて夢を見ているようでうっとりした。

店員さんは英語が堪能な方だったので、無事にお話しながらケーキを買うことができた。

興奮してたから、何を喋ったのか忘れてしまったけど、初めてパリでケーキを買えたことが嬉しくて幸せだった覚えがある。

 

私が持って帰ったのは、薄い紫色が可愛らしいすみれの味のケーキ。名前は忘れてしまったけど、見た目がフランスっぽくてゴージャスで色も美しいから目に楽しくて、口いっぱいにすみれの強めの香りが広がって、外国の味がして、やっぱりとっても美味しかった。

 

 

ずっと憧れてたパリに住みながら、パティスリーへ行けてとにかく私は胸がいっぱいだった。

 

後日、友人と中心地近くの有名なパティスリーや別日に他のパティスリーに行くタイミングが何度かあったけど、私はわりと満足だった。

 

実際パリに住んで、自分自身は街の雰囲気を感じながら、どんなお店があって地域の人がどんな暮らしをしているのかを知ることに興味があると気がついた。

 

だから、今でも暮らすように旅をすることが好きなんだって思った。